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環境解析・環境評価

水流、水質、大気中の物質の拡散など、様々な環境変化について数値解析による予測シミュレーション及び統計的手法による解析を行っています。当社独自のモデル開発も含め、取得可能なデータや目的・ニーズにあわせた解析手法をご提案します。

水環境を主とした数値解析

河川では上流域から河口域にかけて、湖沼では浅い貯水池からダム湖や水深の深い湖まで、海洋では国内の海峡、内湾から外洋まで、多様な水域を対象とした解析を行います。開発事業の影響評価(環境アセスメント)だけでなく、自然環境保全・再生のために検討している対策の効果予測、自然環境の悪化を招いた要因の詳細な究明、被害想定のための自然災害シミュレーションなど、実際には見たり調べたりすることのできない状況をコンピュータ上に再現し、自然環境と人間双方にとってより良い施策の検討に寄与します。

当社における数値解析の例

  • 複数の流入源を有する湖沼において植物プランクトンの増殖をもたらした栄養塩類の流入負荷源と流入時期のシミュレーション
  • 底質の粒径を複数設定した湖沼の堆積土砂による濁りの解析
  • 海峡における潮流の高精度予測
  • 海上におけるタンカーからの揮発性化学物質流出事故を想定した大気拡散予測
  • 写真:流動予測系モデルを用いた潮流解析
    流動予測系モデルを用いた潮流解析
  • 写真:低次生態系モデルを用いた汽水湖の富栄養化の解析
    低次生態系モデルを用いた汽水湖の富栄養化の解析

統計解析手法によるデータ解析

現地調査で得られたデータ等を用い、調査項目同士の関係解析を行っています。水質や底質、流れなどの計測データ、生物の生息状況、さらには地域住民へのヒアリング結果、管理日報など様々な情報を材料とした解析も可能です。

当社における統計解析の例

  • 二枚貝を対象としたHSIモデル(Habitat Suitability Index Model,生物生息適正指数モデル)解析及び多変量解析
  • 水質調査結果と管理記録を用いた貯水施設の水質変化解析

主な実績

業務名 年度 委託元
有明海のアサリ等の生産性向上実証事業 2018年度~ 水産庁
津波高潮遡上解析業務委託 2019年度 茨城県鉾田工事事務所
宮古伊良部農業水利事業 ファームポンド付帯施設効果検証業務 2013~2015年度 内閣府沖縄総合事務局 宮古伊良部農業水利事業所
霞ヶ浦におけるMicrocystis属の鉛直移動を考慮した水質モデル解析業務 2018年度 (国研)国立環境研究所
各地域の特性に応じた有明海の漁場環境改善実証事業 2013~2017年度 水産庁
河川津波遡上解析業務 2014年度 茨城県高萩工事事務所
霞ヶ浦における放射性物質の拡散解析業務 2012年度 (独法)国立環境研究所
移行解析 核燃料サイクル施設沖合海域におけるボックスモデルによる放射性核種拡散計算 2012年度 (公財)海洋生物環境研究所
河川汽水域における水の流れ及び土砂・物質動態解析業務 2011年度 国土交通省 国土技術政策総合研究所
河川汽水域における物質滞留特性解析業務 2010年度 国土交通省 国土技術政策総合研究所
河口湖における底泥の巻き上げ及び沈降を考慮した流動・水質解析業務 2010年度 国土交通省 国土技術政策総合研究所
発電所生態系予測手法検討調査 「仮想発電所温排水拡散予測調査」 2010年度 (財)海洋生物環境研究所
河川汽水域における海水混合状況解析業務 2009年度 国土交通省 国土技術政策総合研究所
HNS拡散予測モデル開発のための研究業務 2006年度 (社)日本海難防止協会
瀬戸内海の海峡部及び島嶼海域における潮流の高精度予測手法の研究 2002年度 (財)日本水路協会

某農業水利事業 海域影響調査業務

サンゴは様々な生き物の住みかとなり、産卵場所を提供するなど、海の生態系において重要な役割を担っている生物です。南西諸島の島々では、陸域の開発事業が周辺のサンゴ礁へ及ぼす影響が心配されます。

沖縄県の某島で計画されている農業水利事業による海域への影響を評価するため、事業の開始前、途中段階、そして終了後に現地調査を行い、様々な種類のサンゴの生息・分布状況のほか、サンゴと共生している海藻・海草類、底生生物、魚類、甲殻類などの出現状況、対象海域の水質や底質など、多岐にわたる項目を調査しました。

  • 水質調査のための採水
  • 潜水によるサンゴの生息調査
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統合河川環境整備(印旛沼)

印旛沼はかつて水草の宝庫でしたが、流入する水質の悪化、護岸や特定の種の異常繁茂等により多様性が失われていきました。これを再生することによって生態系の回復と水質改善をめざす取り組みが千葉県や学生ボランティアなどによって行われています。
当社では、異常繁茂しているオニビシや特定外来生物・ナガエツルノゲイトウの除去、かつて印旛沼に生息した水生植物の系統維持(育成・管理、移植実験)等の保全業務と、その効果のモニタリング調査を行ってきました。 モニタリング調査では、下記のような内容を実施しています。

  • ドローン等による植生状況概観調査及び植生図の作成
  • 水質調査
  • 魚類・甲殻類調査、生物多様性調査
  • 事業年度:2017,2019~2021年度
  • 事業主:千葉県印旛土木事務所、千葉県成田土木事務所
  • 特定外来生物・ナガエツルノゲイトウの除去
  • 魚類調査
  • ナガエツルノゲイトウの除去と魚類調査
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水草園関連施設基本設計

印旛沼は千葉県の北西部に位置し、飲料水の供給源としてだけでなく、美しい景観や豊かな生態系を育む「恵みの沼」として人々に愛されてきました。しかし、急激な都市化や、治水や飲料の安定確保を目的とした開発によって水質や生態系が悪化し、2007(平成19)年度には、全国湖沼水質のワースト1となってしまいました。
そこで2010年3月「印旛沼水循環健全化計画」が策定され、今日に至るまで実行計画に基づいた様々な取り組みが行われています。当社でもこれまでに複数の事業を担当しています。 取り組みのひとつに、水草の「系統維持」があります。かつて印旛沼に繁茂した水草を再生させ、それを維持することで水質や生態系の改善を図ることをめざすもので、この活動を広く知ってもらおうと水草園が作られました。当社は、この水草園において、子どもたちの自然体験や環境学習、市民団体や研究者の活動、レジャーなど、積極的な利活用を可能とする歩廊施設等の詳細設計を行いました。

  • 事業年度:2017年度
  • 事業主:千葉県印旛土木事務所
  • 動線計画
  • 歩廊施設のイメージ
  • 観察デッキのイメージ
  • 観察デッキの平面図
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海岸保全施設詳細設計業務

茨城沿岸の磯原地区海岸の海岸保全施設(護岸・堤防)は、多くは平成10年代に築造・改修が行われたもので、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後、津波や高潮に対してさらに対策検討が必要となっていました。
本業務は、東北地方太平洋沖地震後に県の方針として示された「目指すべき堤防高」を踏まえて海岸保全施設の機能強化を図るため、既設護岸の現況を把握するとともに、磯原海岸の対象地域における海岸保全施設の詳細設計を実施したものです。経済性、施工性、供用性、景観、環境等について総合的な検討を加え、工事に必要な設計を行いました。

  • 事業年度:2014年度
  • 事業主:茨城県高萩工事事務所
  • 既設の護岸施設
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尖閣諸島自然環境基礎調査事業

尖閣諸島は、石垣島の北方150kmにある国境離島群で、沖縄県石垣市の一部です。アホウドリ、センカクツツジ、センカクモグラに代表される貴重な動植物が分布し、周辺海域も豊富な漁場となっており、学術と産業の両面で貴重な自然生態系が形成されていますが、海洋ごみやヤギによる食害等によって脅かされています。保全には正確なデータが必要ですが、中国等が自国の領土と主張していることで、上陸や周辺海域での環境調査は困難な状況にあります。そこで、当社では石垣市からの委託を受け、既存の文献調査や衛星画像解析等によって得られた情報をデータベースとして整理するとともに、広く国内外向けの周知資料等(パンフレット・映像・パネル・ジオラマ等)を作成しました。その成果は、現在、石垣市のユーグレナ離島ターミナルに開設された「石垣市尖閣諸島情報発信センター」等で展示されています。

  • 事業年度:2014年度
  • 事業主:沖縄県石垣市
  • 尖閣諸島・魚釣島
  • 魚釣島の衛星画像解析による正規化植生指標(NDVI)植生図
  • 尖閣諸島自然環境データベース
  • 尖閣諸島のジオラマ
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地域自然資産法による保全・管理・活用事業、竹富町地域自然資産法の事業に係る運用委託業務

沖縄県八重山郡竹富町にある竹富島は、人口約350人の小さな島です。赤瓦屋根の家々、琉球石灰岩でできた石垣、白砂の道に代表される島の風景は、沖縄を代表する原風景であり、中央部の集落は重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。この美しい島は近年の観光客急増の影響を受けて、まちなみの荒廃が懸念される状況となり、島の人達は保存活動に立ち上がりました。当社は竹富町の委託を受け、我が国初の地域自然資産法の適用及び活動と、今後の活動主体となる一般財団法人の設立運営の支援を行いました。

  • 事業年度:2017年~2019年度
  • 事業主:沖縄県竹富町
  • 竹富島のまちなみ
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