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土木設計

河川・海岸や港湾を中心とした土木設計を行っています。構造物の設置はそれまでの自然環境に少なからず影響を及ぼしますが、設計前の影響解析等によって、求められる機能を果たしつつもできる限り元の自然環境に近い状態を維持できるような設計を基本姿勢としています。

海岸保全構造物の設計

近年、河川からの土砂供給量の減少により、全国ほとんどの海岸で侵食が起き、汀線が後退しています。人家や道路が海岸付近に迫っている場所では、堤防の足元が侵食されるなど危険な状態が多々見られます。このような侵食から海岸を保全するため、護岸や突堤などの海岸保全構造物、施設の設計を行っています。

  • 写真:(当社設計例)汀線後退を守るヘッドランド
    当社設計例)海岸浸食による被災に伴う海岸保全構造物の復旧設計

護岸構造物の長寿命化調査・設計

近年は様々な公共建造物において計画的に長寿命化を図る取り組みが進められています。護岸構造物についても然りです。当社では、護岸の状態の調査にはじまり、補修の緊急性評価、補修や再調査のタイムスケジュール立案、補修設計といった一連の手順に携わり、長寿命化の実現を図っています。

  • 写真:護岸の劣化状態の調査
    護岸の劣化状態の調査

港湾構造物の調査・設計

防波堤や物揚場などの港湾構造物は、築造してから年月が経過し、老朽化が進んでいるものが多く存在しています。コンクリートの場合は波の衝撃や鉄筋の錆などが原因となってひび割れや劣化が起き、鋼矢板の場合は電蝕によって薄くなり耐久力が低下していきます。このような構造物の劣化状態調査、補修設計や、新設する港湾構造物の設計を行っています。

  • 写真:鋼矢板の劣化状況の調査
    鋼矢板の劣化状況の調査

漁礁・藻場礁の設計

漁場において、さらに効率的に漁獲量を上げたり、磯焼けなどで衰えた海域の状態を回復させたりするために、比較的浅い海に漁礁や藻場礁を設置します。水深や海底面の調査を行って、設置に適した場所を選定します。その後、設置予定位置での波の状態を計算し、礁の安定性を確かめて設置する礁のタイプを決め、設計を行います。

  • 鳥瞰図:当社にて設計・設置した漁礁の例
    当社にて設計・設置した漁礁の例(鳥瞰図)

河川構造物の設計

河川護岸の老朽化対策や、近年の大雨による水位上昇に対応するための堤防の嵩上げ等の河川構造物の設計を行っています。
近年は、生物多様性を取り戻す環境対策を目的とするケースや、コンクリート張りから自然素材を用いた護岸への変更、瀬や淵の保護・造成などのケースもあります。河道特性を把握し、流水の作用や水位に対して安全な構造で、景観や環境の保全にまで配慮した設計が求められます。

  • 図:生物多様性の回復を目指したワンドの設計例
    生物多様性の回復を目指したワンドの設計例

主な実績

業務名 年度 委託元
県単海岸整備(第1期侵食対策施設整備検討) 2021年度 千葉県長生土木事務所
東青地区(一本木漁港)水産物供給基盤機能保全事業設計業務 2021年度 青森県東青地域県民局
芝浦三丁目内部護岸防食補修設計 2021年度 東京都東京港建設事務所
波浮港防波堤(東)実施及びその他設計 2021年度 東京都港湾局
河川しゅんせつ計画策定 2020年度 東京都建設局
-6.0m岸壁基本・詳細設計業務 2019年度 茨城県茨城港湾事務所
河原子港海岸侵食対策調査業務 2018年度 茨城県茨城港湾事務所
鹿島灘海岸侵食対策事業評価基礎資料整理業務 2017年度 茨城県潮来土木事務所
統合河川環境整備(水草園関連施設基本設計) 2016年度 千葉県印旛土木事務所
海岸保全施設詳細設計業務(有明高浜海岸) 2014年度 茨城県高萩工事事務所

事例

某農業水利事業 海域影響調査業務

サンゴは様々な生き物の住みかとなり、産卵場所を提供するなど、海の生態系において重要な役割を担っている生物です。南西諸島の島々では、陸域の開発事業が周辺のサンゴ礁へ及ぼす影響が心配されます。

沖縄県の某島で計画されている農業水利事業による海域への影響を評価するため、事業の開始前、途中段階、そして終了後に現地調査を行い、様々な種類のサンゴの生息・分布状況のほか、サンゴと共生している海藻・海草類、底生生物、魚類、甲殻類などの出現状況、対象海域の水質や底質など、多岐にわたる項目を調査しました。

  • 水質調査のための採水
  • 潜水によるサンゴの生息調査
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統合河川環境整備(印旛沼)

印旛沼はかつて水草の宝庫でしたが、流入する水質の悪化、護岸や特定の種の異常繁茂等により多様性が失われていきました。これを再生することによって生態系の回復と水質改善をめざす取り組みが千葉県や学生ボランティアなどによって行われています。
当社では、異常繁茂しているオニビシや特定外来生物・ナガエツルノゲイトウの除去、かつて印旛沼に生息した水生植物の系統維持(育成・管理、移植実験)等の保全業務と、その効果のモニタリング調査を行ってきました。 モニタリング調査では、下記のような内容を実施しています。

  • ドローン等による植生状況概観調査及び植生図の作成
  • 水質調査
  • 魚類・甲殻類調査、生物多様性調査
  • 事業年度:2017,2019~2021年度
  • 事業主:千葉県印旛土木事務所、千葉県成田土木事務所
  • 特定外来生物・ナガエツルノゲイトウの除去
  • 魚類調査
  • ナガエツルノゲイトウの除去と魚類調査
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水草園関連施設基本設計

印旛沼は千葉県の北西部に位置し、飲料水の供給源としてだけでなく、美しい景観や豊かな生態系を育む「恵みの沼」として人々に愛されてきました。しかし、急激な都市化や、治水や飲料の安定確保を目的とした開発によって水質や生態系が悪化し、2007(平成19)年度には、全国湖沼水質のワースト1となってしまいました。
そこで2010年3月「印旛沼水循環健全化計画」が策定され、今日に至るまで実行計画に基づいた様々な取り組みが行われています。当社でもこれまでに複数の事業を担当しています。 取り組みのひとつに、水草の「系統維持」があります。かつて印旛沼に繁茂した水草を再生させ、それを維持することで水質や生態系の改善を図ることをめざすもので、この活動を広く知ってもらおうと水草園が作られました。当社は、この水草園において、子どもたちの自然体験や環境学習、市民団体や研究者の活動、レジャーなど、積極的な利活用を可能とする歩廊施設等の詳細設計を行いました。

  • 事業年度:2017年度
  • 事業主:千葉県印旛土木事務所
  • 動線計画
  • 歩廊施設のイメージ
  • 観察デッキのイメージ
  • 観察デッキの平面図
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海岸保全施設詳細設計業務

茨城沿岸の磯原地区海岸の海岸保全施設(護岸・堤防)は、多くは平成10年代に築造・改修が行われたもので、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後、津波や高潮に対してさらに対策検討が必要となっていました。
本業務は、東北地方太平洋沖地震後に県の方針として示された「目指すべき堤防高」を踏まえて海岸保全施設の機能強化を図るため、既設護岸の現況を把握するとともに、磯原海岸の対象地域における海岸保全施設の詳細設計を実施したものです。経済性、施工性、供用性、景観、環境等について総合的な検討を加え、工事に必要な設計を行いました。

  • 事業年度:2014年度
  • 事業主:茨城県高萩工事事務所
  • 既設の護岸施設
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尖閣諸島自然環境基礎調査事業

尖閣諸島は、石垣島の北方150kmにある国境離島群で、沖縄県石垣市の一部です。アホウドリ、センカクツツジ、センカクモグラに代表される貴重な動植物が分布し、周辺海域も豊富な漁場となっており、学術と産業の両面で貴重な自然生態系が形成されていますが、海洋ごみやヤギによる食害等によって脅かされています。保全には正確なデータが必要ですが、中国等が自国の領土と主張していることで、上陸や周辺海域での環境調査は困難な状況にあります。そこで、当社では石垣市からの委託を受け、既存の文献調査や衛星画像解析等によって得られた情報をデータベースとして整理するとともに、広く国内外向けの周知資料等(パンフレット・映像・パネル・ジオラマ等)を作成しました。その成果は、現在、石垣市のユーグレナ離島ターミナルに開設された「石垣市尖閣諸島情報発信センター」等で展示されています。

  • 事業年度:2014年度
  • 事業主:沖縄県石垣市
  • 尖閣諸島・魚釣島
  • 魚釣島の衛星画像解析による正規化植生指標(NDVI)植生図
  • 尖閣諸島自然環境データベース
  • 尖閣諸島のジオラマ
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地域自然資産法による保全・管理・活用事業、竹富町地域自然資産法の事業に係る運用委託業務

沖縄県八重山郡竹富町にある竹富島は、人口約350人の小さな島です。赤瓦屋根の家々、琉球石灰岩でできた石垣、白砂の道に代表される島の風景は、沖縄を代表する原風景であり、中央部の集落は重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。この美しい島は近年の観光客急増の影響を受けて、まちなみの荒廃が懸念される状況となり、島の人達は保存活動に立ち上がりました。当社は竹富町の委託を受け、我が国初の地域自然資産法の適用及び活動と、今後の活動主体となる一般財団法人の設立運営の支援を行いました。

  • 事業年度:2017年~2019年度
  • 事業主:沖縄県竹富町
  • 竹富島のまちなみ
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