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地域振興

島嶼地域や過疎地域を主体に、そこにしかない唯一無二の自然と伝統文化の継承、そして地域で営まれてきた産業の振興をはじめとする地域課題の解決に取り組んでいます。また、地域の未来を担う子どもたちの教育も私たちの重要なテーマです。

離島の暮らしと自然を守る

日本には400以上の有人島があります。その多くは船でしかアクセスできず、日常生活、物流、産業振興、教育、医療・福祉、廃棄物処理、防災等、様々な面で生じる不便・不利益は、「離島苦」とも呼ばれています。一方、日本が広大な排他的経済水域を有しその恵みを享受できるのは、「国境離島」と呼ばれる島々のおかげです。また、往来が困難であるがゆえに、今なお独自の文化が継承されていたり、豊かな自然や生態系が残されていたりする島も少なくありません。
こうした島々で人々がこれからも暮らし続けていけるように、離島苦の解消、地域活性化や産業振興、教育の充実、自然環境の保護と利活用といった課題に多面的に取り組んでいます。

  • 写真:マングローブに絡みついた漂着ごみ(西表島)
    マングローブに絡みついた漂着ごみ(西表島)

持続可能な漁業のために

かつて庶民の秋の味覚の代表格であったサンマは、今はすっかり高級魚となりました。海洋資源の減少は世界的な課題となっており、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」においても海洋資源の保護と回復が重要なターゲットに掲げられています。一方、海に面した地域の振興、地方創生において、漁業の振興は欠くことのできないテーマです。
当社では、漁業者との協働による調査研究、科学的知見に基づいた海洋資源保護のためのルール策定、ルールや海洋資源保護についての啓発・周知広報、漁業協同組合の運営計画策定支援等の業務を通じて、持続可能な漁業の実現に取り組んでいます。

  • 写真:漁業者との協働による水産資源管理のための標識放流調査
    漁業者との協働による水産資源管理のための標識放流調査

自然環境の適正な利活用による地域振興

当社の業務領域は、海洋や島だけではありません。山岳地帯等の陸域の自然環境の保全と適正な利活用による地域振興もテーマです。
例えば、バブル時代に隆盛を誇ったスキー場を主体とする国立公園地域では、団体客を迎えるために大きな施設が多く作られましたが、個人旅行が主流となっていくにつれて観光客の減少が顕著となり、廃ホテル等が目立つようになりました。このような地域において、自然環境資源を活かした地域振興策やまちなみ再生の調査研究も行っています。

  • 写真:上信越高原国立公園内にあるスキーリゾート志賀高原地域の中心地、蓮池
    上信越高原国立公園内にあるスキーリゾート志賀高原地域の中心地、蓮池

主な実績

業務名 年度 委託元
富士箱根伊豆国立公園伊豆諸島地域協働型管理運営体制構築支援業務 2019~2020,2022年度 環境省関東地方環境事務所
竹富町海洋教育推進事業支援業務 2019年度~ 沖縄県八重山郡竹富町
山岳環境保全対策推進業務 2021年度~ 環境省
阿蘇くじゅう国立公園(阿蘇地域)管理運営計画策定検討業務 2019,2021年度 環境省 九州地方環境事務所
サンゴ礁生態系における持続可能なツーリズム推進モデル事業実施業務 2019~2020年度 環境省
西表石垣国立公園石垣・石西礁湖地域管理運営計画検討等業務 2018,2020年度 環境省 沖縄奄美自然環境事務所
西表島仲間川の持つ環境価値の可視化に関する調査研究 2020年度 公益財団法人
海洋保護区調査支援事業委託業務 2017,2019年度 沖縄県
竹富町海洋基本計画策定業務 2010,2019年度 沖縄県八重山郡竹富町
令和元年度 磐梯朝日国立公園(磐梯・猪苗代地域)管理運営計画書案検討業務 2019年度 環境省東北地方環境事務所
地域資源活用着地型観光メニュー調査開発業務 2016年度 沖縄県八重山郡与那国町
「与那国・自立ビジョン」更新委託業務 2015年 沖縄県八重山郡与那国町
「石垣市海洋基本計画」策定業務 2012~2013年度 沖縄県石垣市
漂着ごみの油化に関する広域社会実験事業 2011~2012年度 (公社)日本海難防止協会
与那国町総合計画及び国土利用計画策定業務 2010年度 沖縄県八重山郡与那国町

事例

某農業水利事業 海域影響調査業務

サンゴは様々な生き物の住みかとなり、産卵場所を提供するなど、海の生態系において重要な役割を担っている生物です。南西諸島の島々では、陸域の開発事業が周辺のサンゴ礁へ及ぼす影響が心配されます。

沖縄県の某島で計画されている農業水利事業による海域への影響を評価するため、事業の開始前、途中段階、そして終了後に現地調査を行い、様々な種類のサンゴの生息・分布状況のほか、サンゴと共生している海藻・海草類、底生生物、魚類、甲殻類などの出現状況、対象海域の水質や底質など、多岐にわたる項目を調査しました。

  • 水質調査のための採水
  • 潜水によるサンゴの生息調査
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統合河川環境整備(印旛沼)

印旛沼はかつて水草の宝庫でしたが、流入する水質の悪化、護岸や特定の種の異常繁茂等により多様性が失われていきました。これを再生することによって生態系の回復と水質改善をめざす取り組みが千葉県や学生ボランティアなどによって行われています。
当社では、異常繁茂しているオニビシや特定外来生物・ナガエツルノゲイトウの除去、かつて印旛沼に生息した水生植物の系統維持(育成・管理、移植実験)等の保全業務と、その効果のモニタリング調査を行ってきました。 モニタリング調査では、下記のような内容を実施しています。

  • ドローン等による植生状況概観調査及び植生図の作成
  • 水質調査
  • 魚類・甲殻類調査、生物多様性調査
  • 事業年度:2017,2019~2021年度
  • 事業主:千葉県印旛土木事務所、千葉県成田土木事務所
  • 特定外来生物・ナガエツルノゲイトウの除去
  • 魚類調査
  • ナガエツルノゲイトウの除去と魚類調査
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水草園関連施設基本設計

印旛沼は千葉県の北西部に位置し、飲料水の供給源としてだけでなく、美しい景観や豊かな生態系を育む「恵みの沼」として人々に愛されてきました。しかし、急激な都市化や、治水や飲料の安定確保を目的とした開発によって水質や生態系が悪化し、2007(平成19)年度には、全国湖沼水質のワースト1となってしまいました。
そこで2010年3月「印旛沼水循環健全化計画」が策定され、今日に至るまで実行計画に基づいた様々な取り組みが行われています。当社でもこれまでに複数の事業を担当しています。 取り組みのひとつに、水草の「系統維持」があります。かつて印旛沼に繁茂した水草を再生させ、それを維持することで水質や生態系の改善を図ることをめざすもので、この活動を広く知ってもらおうと水草園が作られました。当社は、この水草園において、子どもたちの自然体験や環境学習、市民団体や研究者の活動、レジャーなど、積極的な利活用を可能とする歩廊施設等の詳細設計を行いました。

  • 事業年度:2017年度
  • 事業主:千葉県印旛土木事務所
  • 動線計画
  • 歩廊施設のイメージ
  • 観察デッキのイメージ
  • 観察デッキの平面図
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海岸保全施設詳細設計業務

茨城沿岸の磯原地区海岸の海岸保全施設(護岸・堤防)は、多くは平成10年代に築造・改修が行われたもので、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後、津波や高潮に対してさらに対策検討が必要となっていました。
本業務は、東北地方太平洋沖地震後に県の方針として示された「目指すべき堤防高」を踏まえて海岸保全施設の機能強化を図るため、既設護岸の現況を把握するとともに、磯原海岸の対象地域における海岸保全施設の詳細設計を実施したものです。経済性、施工性、供用性、景観、環境等について総合的な検討を加え、工事に必要な設計を行いました。

  • 事業年度:2014年度
  • 事業主:茨城県高萩工事事務所
  • 既設の護岸施設
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尖閣諸島自然環境基礎調査事業

尖閣諸島は、石垣島の北方150kmにある国境離島群で、沖縄県石垣市の一部です。アホウドリ、センカクツツジ、センカクモグラに代表される貴重な動植物が分布し、周辺海域も豊富な漁場となっており、学術と産業の両面で貴重な自然生態系が形成されていますが、海洋ごみやヤギによる食害等によって脅かされています。保全には正確なデータが必要ですが、中国等が自国の領土と主張していることで、上陸や周辺海域での環境調査は困難な状況にあります。そこで、当社では石垣市からの委託を受け、既存の文献調査や衛星画像解析等によって得られた情報をデータベースとして整理するとともに、広く国内外向けの周知資料等(パンフレット・映像・パネル・ジオラマ等)を作成しました。その成果は、現在、石垣市のユーグレナ離島ターミナルに開設された「石垣市尖閣諸島情報発信センター」等で展示されています。

  • 事業年度:2014年度
  • 事業主:沖縄県石垣市
  • 尖閣諸島・魚釣島
  • 魚釣島の衛星画像解析による正規化植生指標(NDVI)植生図
  • 尖閣諸島自然環境データベース
  • 尖閣諸島のジオラマ
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地域自然資産法による保全・管理・活用事業、竹富町地域自然資産法の事業に係る運用委託業務

沖縄県八重山郡竹富町にある竹富島は、人口約350人の小さな島です。赤瓦屋根の家々、琉球石灰岩でできた石垣、白砂の道に代表される島の風景は、沖縄を代表する原風景であり、中央部の集落は重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。この美しい島は近年の観光客急増の影響を受けて、まちなみの荒廃が懸念される状況となり、島の人達は保存活動に立ち上がりました。当社は竹富町の委託を受け、我が国初の地域自然資産法の適用及び活動と、今後の活動主体となる一般財団法人の設立運営の支援を行いました。

  • 事業年度:2017年~2019年度
  • 事業主:沖縄県竹富町
  • 竹富島のまちなみ
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